敷地で気づいたこと


 進行中の現場で先日上棟式が行われました。年始から年度末にかけてバタバタと更新を怠っていましたが年末には地鎮祭を行いました。
軸組の外部側には耐力面材が貼られていて壁と開口の位置が分かる状態での上棟式だったため完成時の内部空間がよくイメージできました。少し風の冷たい穏やかな午後、清々しい気持ちで上棟を祝うことができました。地鎮祭後建主さんご夫婦と現場監督さんを交えての設備関係打ち合わせなど。


写真:地鎮祭と上棟式

 



 建物の形はCGでのシュミレーションの通り(図面の通り)にできていますが、実際の敷地に建った実物の建物の中から見て初めて気付かされたことがありました。それは隣地に広がる「桃畑」が寝室、子供室、浴室の窓から一面に見渡せることでした。設計時に敷地を訪れたときは青々とした葉が繁っている雑木林のような状態で地鎮祭の際は葉が落ちて枯れ木の状態だったためこの日まで全く意識されていなかったのです。
 日本には古くから「借景」という言葉がありその字の通り風景を開口部で切り取り室内に取り込み(拝借して)楽しむという文化があります。この日の(偶然の)発見により各室に付いていた「採光と換気のための窓」が「一面に桃畑が見える窓」に変わったことで、これまでよりも数倍良い設計だと思えています。


 住宅が密集する敷地では生活の妨げとなる隣家からの視線や光の反射などに気を配りながらどの方向に開口部を取るのが良いかを検討し設計します。この計画は南側に接道し他3方を畑に囲まれるという立地条件です。実際には敷地の裏に自身の菜園があり桃畑はその更に奥になりますが、隣地との関係において特に不都合(否定的要素)は無いという認識に留まっていた点を反省しました。
 今後はより広い範囲に意識を向けながら注意深く敷地(周囲まで)を調査することを改めて確認しました。

個室の窓から桃畑を望む。手前 (隣地) はご自身の菜園。



※以下自身の覚書として。
 これまでは設計に望む際に現状を否定し(敷地や既存家屋などの問題点を見つけ)新たに建築的な操作を加えることで問題を解決するという展開で思考してきたが、これからは現状を肯定し(良いところを見つけ)それを最大限に活かすというアプローチで望んでみたいと思う。そうすることでより自然で、より単純で、より経済的な建築が生まれるような気がする。



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2019年02月27日|日記:現場