4/17、「西方流『温暖地と寒冷地』のエコハウスの作り方徹底解説セミナー」へ参加してきました。午前中に山梨県富士吉田市にある西方氏の設計された住宅の現場見学をして、午後から研究成果などを聞くというスケジュールでした。
以前にも触れましたが、2015年に建築物省エネ法(建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律)が施行されたことを受け、住宅・建材生産者などの関連団体は地球温暖化とエネルギー問題に対して建築の運用時における省エネルギー化をさらに進めていく方向へと動いています。2020年には小規模住宅でも外皮性能と一次エネルギー消費量に対して地域ごとに定められた基準値に適合することが義務化されることになりました。
今回このセミナーに参加して寒冷地にてQ値(熱損失係数)1.0を下まわるための仕様と納まりを見ることができました。普段馴染みの無い断熱材の厚さが新鮮でした。地球規模のエネルギー問題から高気密高断熱住宅に取り組む場合、単純に考えれば熱的シェルターとしての外皮性能は高ければ高いほうが優れており、合わせて最新の高効率設備機器を導入することが最善です。極端に言えば家中を厚さ1mの断熱材で包むこともできますが、重要なのは計画地の気候、設備機器や空調方式との関係を正しく理解し、バランスよく適切に組み合わせることです。せっかくの断熱材も吸気口から風が入ってきては宝の持ち腐れとなり期待する効果が発揮されません。また、プロジェクト全体のコストバランスの中でそれらを整合させることも大切です。西方氏は自身の事務所の下限仕様、標準仕様、推奨仕様をそれぞれQ値で示しておられました(いづれも法律の基準以上)。長年の研究結果とその試行錯誤の過程で体得したバランス感覚に裏打ちされたスタイルを事務所の仕様として示されていることに感銘を受けました。
自分にとって省エネ住宅への取り組みはイニシャルコストとのバランスからこれまで後回しになりがちでしたが、法改正及び補助金制度の整備といった省エネ(からゼロエネ)へと向かう社会的な動きを受け、今後の自分なりの取り組み方を整理していきたいと考えました。