10/4、一般社団法人 Forward to 1985 energy life で制度化している暮らし省エネマイスター検定に挑戦しました。マイスターとはドイツ語で「第一人者」という意味ですが、暮らし省エネマイスター検定は「省エネについて一般の方に分かりやすく説明できる能力者を育成する制度」と謳われているものです。
エネルギー問題は地球規模の問題であると同時に最も身近な問題でもあります。国内の二酸化炭素排出量において家庭部門は大幅な削減が見込まれる部門として期待されおり国も大きな削減目標を掲げて取り組んでいます。法律や補助金の整備が今後も継続して行われていくテーマとなっています。
当設計室でも積極的に取り組むべき問題ととらえており、省エネ性能にも配慮した総合的な視点から質の高い住空間を提案していきたいと考えています。
※これは住宅に限らず建築全般に共通する問題であり他の用途でも同様と考えています。
省エネルギーに関心を持っている相談者さんの多くは省エネルギーという言葉に対して概ね
・電気、ガス等の消費量を減らすこと
・電気代を減らすこと
・光熱費を減らすこと
という生活者としての視点でお話される方が多いと感じられます。個人住宅の計画に際して省エネとは地球規模の温暖化問題という視点ではなく、光熱費に換算するような暮らしに直結する視点の方が捉えやすいというのは同じ一生活者として共感できます。
どのような視点からでも結果的に温室効果ガス排出量が抑えられるのであればまずは良しですが、注意が必要なのは一様に「高気密・高断熱住宅=省エネルギー住宅」であるという誤解がある点です。
例えば、地域別の平均値から見ると寒冷地では家庭で使用する一次エネルギー消費量の1位は暖房エネルギーです。その割合は寒い地域に行くほど大きくなりますが、このような地域では高性能の気密断熱住宅は割合の大きい暖房エネルギー負荷の低減には効果的です。熱損失の大きい開口部を小さくしたり、通風に必要な窓をバランス良く配置することで夏涼しく冬暖かい建築とすることができます。外気温が室温より低くなる夏の夜には涼しい風を取り入れることで日中溜まった熱を放出し翌日快適に過ごすことができます。
一方、温暖地である甲府市街地等では一次エネルギー消費量の1位は家電です。そこで寒冷地同等の気密断熱性能を高めた仕様としても暖房費の圧縮幅は小さくなる一方で、蒸し暑い夏の夜には「熱ごもり」を引き起こし逆に冷房負荷を上げてしまうことにもつながります。
また甲府は全国的に見て冬季の平均日射量の多い地域です。このような地域ではその特性を活かし冬の日射熱を多く取り込む工夫をする方が暖房負荷を抑えるのには有利になります。
このように建設場所の気象条件に合わせた適切な工夫が重要です。それに加え良い家にするためには間取り、構造、設備機器、予算なども合わせて検討しバランスよくまとめる必要があります。これからは暮らし省エネマイスターとして正しく分かりやすいコミュニケーションを心がけ、充実した家づくりを実現していきたいと考えています。
気密、断熱性能についてはこちらも御覧ください。