芦川散策


 先日笛吹市芦川町を散策してきました。築150年というような民家が実際に住まわれながら現存する集落です。
集落を歩いてみると、自然が多く、道幅も人間が歩くのに適当な広さで親しみやすい雰囲気があります。山間部の傾斜地にある集落で、家屋に近接した擁壁や断面方向へ連続する石積みの土留壁が多く見られます。隅から隅まで構造物で覆い尽くそうとする都会の景色とは異なり、人と自然がせめぎ合うように入り混じり共存している姿には惹かれるものがあります。

 目的は茅葺き古民家の「藤原邸」を見に行くことでした。「藤原邸」は山梨県近世民家緊急調査の対象民家として「山梨県の民家」に調査結果が記載されており建設年代は18世紀中期(江戸時代中期)で、名主を勤めた家柄であったと記されています。兜造り寄棟型の茅葺き屋根で桁行8間、梁間3.5間の平屋建て、座敷、納戸、居床、火じろ、土間、馬やという平面構成になっています。

 中に入ると引き戸で仕切れる部屋が奥へと連続していますが、隅から隅まで視線が通ることで内部空間がとても広く感じられます。外部から内部まで連続する土間空間は現代の玄関・台所・勝手口・物置(一部に馬や)などの機能を合わせ持ち、建物の北側まで通り抜けています。下足のまま使用する内部空間として、採れた野菜をそのまま持ち帰りその場で調理したり農具などを手入れしたりと暮らしと一体となった有用な空間であったと思います。小屋裏は床が一部スノコ状になっており一階の囲炉裏の煙が充満しています。下階で暖を取りながら茅葺き屋根を内側から燻蒸し虫の発生を抑制する理にかなったシステムです。

 民家の間取りや暮らしぶりにもいづれ触れていきたいと思っていますが、詰まるところ自身の設計では現代の暮らしに合った民家を考えていきたいと思っています。地産地消の生産システムや自然や暮らしと一体になった住まいの在り方を、様々な知恵の詰まった過去の住まいを参考にすることで自分なりに整理していきたいと考えています。誤解の無いよう繰り返しますが、それは建築の在り方として参考にしたいのであって古き良き民家の復活を目指すものではありません。先人たちの考え方や知恵や工夫を、現代の技術を使い、現代の設備を使い、現代を生きる建て主さんの暮らしに合った形へと置き換えながら、その地域や風土に合った建築を考えていきたいと思っています。


 




前回:現代の縁側を求めて
次回:シンプルの先へ

ブログ一覧へ戻る


2017年02月07日|建築:古民家