アントニン・レーモンドの建築1


 自然体とは「気負いのない自然な態度」のことであり「自然体な人」と一緒にいると心が落ち着いたり気疲れすることなく過ごせるのだと思います。
 私には建築も同様で、自然体な建築は心地よく美しいものとして感じられます。ここでいう自然体な建築とは、重力などの外力に対して無理なく釣り合いが取れている建築と言い換えられるもので、さらに言えば、そう感じられるように表現された建築と言えます。

 レーモンドの建築内部では現しになった構造部材を見ることで重力や水平力に対する力の流れを感じることができます。部材同士が力を伝え合い外力に耐えながらしっかりと立っている。そんな当たり前の様子が目に見えて感じられることで親しみやすく落ち着いた空間として感じられます。
 自身の設計もこのように当たり前でシンプルな視点から発想したいと考えています。

 最初に就職した荒木毅建築事務所では主に木造住宅の実務を経験しました。荒木氏はレーモンド設計事務所出身の建築家です。勤めていた頃、事務所ではレーモンドの建物についての勉強会をしたり、実際にレーモンドの建築を見に行ってその建築についての意見交換をする機会などがありました。その時の経験が今の自身の設計活動の骨格へつながっていると感じています。

井上房一郎邸内部(現・高崎市美術館の一部):レーモンドが麻布に建てた自邸を見て気に入った井上房一郎が東西を逆さまにした平面を作成し建設させました。レーモンドの麻布の自邸が取り壊された今も現存し、その架構のあり方やレーモンドの暮らしぶりなどが伺える貴重な空間となっています。




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2017年02月20日