アントニン・レーモンドの建築2


  アントニン・レーモンドは1919年に来日したチェコ生まれの建築家で1921年に日本に事務所を設立します。日本のモダニズム建築を牽引した建築家でその弟子には吉村順三や前川國男といった著名な建築家がいます。
 モダニズムは20世紀前半に始まる機能的、合理的な造形理念を主眼とする建築運動ですが、私の思うレーモンドの最も偉大な功績は、モダニズムの建築理念を世界でもトップクラスのレベルにおいて木造によりみごとに表現した点にあると思います。

 レーモンドは日本の伝統的な木造建築物とそれらの形の発展の中にある原則が、モダニズム建築の基本原理と重なっていることを発見したのだと思います。それらの共通点を木造近代主義建築物として再構築し世界にその価値を認めさせました。これにより日本の木造モダニズム建築はユニバーサルスペースを提唱する近代主義という枠を超え、地域性を獲得した固有の建築文化として定着し現代へとつながっています。

 前回の井上房一郎邸に続き、僕の好きなレーモンドの建築をもう一つ紹介します。聖パウロカトリック教会です。1935年に軽井沢に建てられ今も現存する教会です。内部の屋根を支える梁組が印象的ですが、この梁組は「シザーズ(鋏状)トラス」と呼ばれるものでレーモンドが鋏状トラスを使った最初の建築がこの聖パウロカトリック教会です。この後この鋏状トラスは少しずつ形を変えながら他の教会建築や住宅へと応用されていきます。
 鋏状トラスにより包まれた内部空間では飾らない自然体の美しさと、それによる何とも言えない安堵感や温もりが感じられます。この空間が今後自分が考えていきたい木質空間の原点ではないかと感じています。

写真は2008年秋の様子です。この日だけで4件の結婚式が行われ、そのうちの1つは僕の結婚式でした。
11月の軽井沢。暖かな内部空間の印象とは反対に、屋外で凍えるドレス姿の花嫁も懐かしく思い出されます



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2017年02月23日|建築:聖パウロカトリック教会