設計者にとっての家づくり


 私にとって(住宅の)設計とは、建て主さんの持つ断片的な暮らしのイメージを一旦自分のフィルターを通して整理し、形や質感のある建築空間に置き換えていく作業です。法律や構造、設備といった専門知識を要する技術的な検討と、建て主さんがより気持ちよく日々の暮らしを送れるような住空間の検討を同時進行で進めていきます。

 感動を生む質の高い空間を実現するためには様々な要素を統合し一つにまとめるための秩序が必要です。様々な条件からどのような秩序を見出し空間化していくかはそれぞれの設計者の個性によるところとなりますが、自らの思想というフィルターを通して整理した暮らしのイメージを、秩序を持った形である建築空間に置き換えます。打ち合わせではそれを図面や模型などでビジュアル化し提案することになります。形は暮らしを育てるものなので、建築空間を提案することはライフスタイルを提案することだと考えています。

 設計者の経験や思想が反映されたこの提案こそ「建築家」と共同する家づくりの価値になります。規格品を寄せ集めて組み合わせるのではなく一品生産に特化している分だけ知恵を絞りアイディアを練り混んでいるからです。そうして考えた提案の説明にはどうしても熱が入りますが、暮らしの価値について多くの議論を重ねることで建築の質は高まるものと感じています。打ち合わせでは様々なライフスタイルについて自分の知識や経験を話したり模型やパースなどを提示しながら実感を持って判断いただけるよう努めています。

 

403邸:開け放して一体で使う場合。乳半の引き戸を閉めれば、それぞれの場所毎での照度は保ちつつも視線
    を遮ることができます。それにより複数の組み合わせ方ができます。

 





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日記:長松寺の家に遊びに行かせていただきました

2017年01月21日|独り言:コンセプト